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「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」

新潮社






<DATA


1985年刊行、谷崎潤一郎賞を受賞。村上春樹の代表作のひとつでもある。

この作品は「世界の終わり」「ハードボイルド・ワンダーランド」というふたつの異なった世界が

かわるがわるで進むことになる。「世界の終わり」は幻想的な世界ではかなさや美しさが描き出されて、

「ハードボイルド・ワンダーランド」では計算士という職業の主人公が鮮やかな都会世界で奇妙な事件に巻き込まれていく。

別々に始まることになるこのふたつのストーリーは、後半でところどころ共鳴し合い、やがてひとつとなる。





抜群の構成力に、不思議なシーン描写、スタイリッシュな文体、妙に説得力のある登場人物など

村上文学の最高傑作のひとつでもあり、根強いファンが多い。


村上春樹が作家として、一躍有名になった小説でもある。


なお、「世界の終わりはその5年ばかり前に書いた中編小説「街と、その不確かな壁」という作品が原型になっている。

こちらは本人によれば、不完全で未熟な作品だとして「村上春樹全集」にも載せていない。













<感想


物語が始まる前に、詩が載せてある。









太陽はなぜ今も輝きつづけるのか

鳥たちはなぜ唄いつづけるのか

彼らは知らないのだろうか

世界がもう終わってしまったことを


”THE END OF THE WORLD”








この言葉の余韻が残りながらの「ハードボイルド・ワンダーランド」への鮮やかな導きが始まり、

まったく違う時間軸で異なる主人公の「世界の終わり」というもうひとつのストーリーも同時に進行していく。

その世界では壁に囲まれていて、時の流れがとても緩やかだ。美しい幻想世界のなかで物語が進んでいく。






一方、「ハードボイルド・ワンダーランド」では都会的な時間のせめぎ合いが主人公を取り囲み、奇妙な事件が連続して起こる。


ふたつのストーリーはまったく異なっていて、どういう意味でこれらがひとつの本となって収められているのか分からない仕組みになっている。


それらが徐々に絡まっていく後半部分は見事としか言いようがなく、素晴らしいのひとこと。




村上春樹はやっとのことでこの小説を書き終わり、へとへとになって妻に読んでもらったら、

























「あなた、後半全部書き直したほうがいいんじゃないの?」と冷たく言われて、



ぶつぶつ文句を言いながら、全部書き直したらしい。(お疲れ様です)








特に「世界の終わり」のラストシーン辺りは10回ぐらい書き直したとかで、読者の心に迫るシーン描写となっている。




この物語の重要な部分である、”森に入っていくところ”を描いたものが「海辺のカフカ」となって17年後に刊行されることになる。












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